チョン・キョンファ

Kyung Wha Chung

ヴァイオリン
©Simon Fowler

チョン・キョンファは、自身の音楽の世界を追求する屈指の音楽家の一人として世界に認められたヴァイオリンの名手である。鋭い音楽的感性と徹底して芸術的完璧さを追求するその姿勢は、世界中の音楽愛好家に高く評価されている。

1967年、エドガー・レヴェントリット国際コンクールで第1位となり大きな注目を集めたチョンは、その後、アンドレ・プレヴィン、ゲオルク・ショルティ、クラウス・テンシュテット、リッカルド・ムーティ、バルナルト・ハイティンク、ダニエル・バレンボイム、クラウディオ・アバド等の指揮のもと、世界一流のオーケストラの演奏会に登場している。ラドゥ・ルプー、クリスティアン・ツィマーマン、ペーター・フランクル、チョ・ソンジン、キム・ソヌクなどのピアニストとも共演し、ショパンコンクール最高位のケヴィン・ケナーとは2011年以来共演を続けている。

チョン・キョンファは、50年のキャリアの中で、コンチェルトから室内楽まで33のアルバムをデッカ、RCA、ドイツ・グラモフォン、EMIなどの主要レーベルからリリースしており、いくつかは伝説的アルバムと評されている。1995年には『アジア・ウィーク』が選んだ“偉大なアジアの20人”に唯一クラシック音楽の演奏家として選出され、またイギリスのサンデー・タイムズでは、“20世紀後半の最も卓越したヴァイオリニストのひとり”に選ばれている。2017年、Gramophone Hall of Fameヴァイオリン部門のアーティストに選ばれ、フリッツ・クライスラー、アルテュール・グリュミオー、ナタン・ミルシテインらとともに殿堂入りリストにその名が刻まれることになった。

2013年はアジアツアー、2014年はロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでのリサイタル、2016年はヴェルビエ音楽祭の開幕を飾る演奏をし、2017年はニューヨークのカーネギー・ホールで バッハ無伴奏ソナタとパルティータ全曲のソロ演奏を行うなど、活発な活動を続けている。2015年にニューイングランド音楽院より名誉博士号を授与されている。現在、ジュリアード音楽院の教授も務めている。