J・S・バッハ 協奏曲 ニ短調 BWV974
J. S. Bach Konzert d-Moll BWV974
ドイツ・バロック音楽に最後の高みを築いたヨハン・セバスティアン・バッハ(1685−1750)はヴァイマルの宮廷に仕えていた時期(1708−17)に、領主の甥のヨハン・エルンスト公子の依頼で、様々な作曲家によるイタリア様式の協奏曲をチェンバロやオルガンの独奏用に編曲した。本日の協奏曲もそのひとつで、イタリアの作曲家アレッサンドロ・マルチェッロ(1684−1750)のオーボエ協奏曲ニ短調を原曲とするもの。この原曲は、かつてはアレッサンドロの弟ベネデット作のオーボエ協奏曲ハ短調とも、ヴィヴァルディの作のオーボエ協奏曲ともいわれた。いかめしい主題(原曲ではオーケストラ)と動きの多い楽句(原曲ではオーボエ)が交替する第1楽章に始まり、叙情的な旋律が歌い紡がれるアダージョ(映画「ヴェニスの愛」にも用いられ有名になった)を挟んで、最後は活発なプレストのフィナーレで閉じられる。 |