L・v・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 op.53「ワルトシュタイン」
L.v.Beethoven: Piano Sonata No.21 in C major op.53 "Waldstein"
1.アレグロ・コン・ブリオ Allegro con brio
2.イントロドゥツィオーネ、アダージョ・モルト Introduzione: Adagio molto
3.ロンド、アレグレット・モデラート Rondo: Allegretto moderato
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770−1827)は初期には18世紀のいわゆる古典派様式から出発したが、中期にはそうした従来の様式の枠を拡大し、大規模でダイナミックな新しいスタイルによったスケール豊かな傑作を次々と生み出すこととなる。この「ワルトシュタイン」ソナタもまさにそうした中期の傑作群のひとつで、1803年から翌年にかけて作曲されている。「ワルトシュタイン」と呼ばれるのは、かつてベートーヴェンが少年だった頃に多大な援助をしてくれたワルトシュタイン伯爵にこのソナタが献呈されたことによるもので、内容的にも恩人に捧げるにふさわしい堂々とした広がりと輝かしい演奏効果を持つものとなっている。そうした作風は、作曲の少し前にピアノ制作者エラールから最新のピアノを贈られたこととも関わっている。
第1楽章(アレグロ・コン・ブリオ)は、シンフォニックともいえるスケールの大きいソナタ形式楽章。第2楽章(アダージョ・モルト)は深い情調を湛えた緩徐楽章だが、“イントロドゥツィオーネ(導入)”と記されているように次の楽章への導入的な役割を持ち、そのまま明るいロンド主題を中心に雄大な発展を繰り広げる第3楽章(アレグレット・モデラート)に続いていく。 |