音楽を愛する家庭に生まれ育ったチョン・キョンファは、ジュリアード音楽院で巨匠イヴァン・ガラミアンに師事、また後にヨーロッパでヨゼフ・シゲティの薫陶を受けた。1967年、エドガー・レヴェントリット国際コンクールで第1位となり名声を高める。1970年、プレヴィン指揮ロンドン響との共演でヨーロッパ・デビュー。ショルティ、テンシュテット、ムーティ、ハイティンク、マゼール、バレンボイム、アバド等の指揮のもと、世界各地で演奏会に登場している。またピアニストのルプー、ツィメルマン、フランクル等と共演。弟のチョン・ミョンフン、姉のチョン・ミョンファとはチョン・トリオを結成し活動した。韓国政府より文化勲章を授与、1995年には『アジア・ウィーク』が選んだ“偉大なアジアの20人”に唯一クラシック音楽の演奏家として、またイギリスのサンデー・タイムズでは、“最近20年間で最も偉大な器楽奏者”に選ばれている。
チョン・キョンファは、1988年よりEMIと専属契約を結び、他にもデッカ、RCA、ドイツ・グラモフォン(DG)等と30枚ほどをリリースしているが、1989年、1994年の録音はグラモフォン・アワードを受賞。また、伝説のライヴと言われた1998年サントリーホールでの2夜にわたる公演が、2013年にキング・インターナショナルから発売され大絶賛された。2015年よりワーナークラシックスと専属契約を結び、『バッハ:無伴奏ソナタ&パルティータ全曲』(2016年9月)、最近の共演者であるケナー(pf)とフランス作品を集めた『Beau Soir』(2018年3月)をリリースしている。
2005年9月より指の故障で演奏会から離れ、その間は大学で教鞭を執り、チャリティ活動に参加するなど、精神的にも肉体的にも充実して過ごし、満を持して2011年12月に演奏活動を再開。 “She is back !!” と銘打ったその素晴らしいステージに、満員の聴衆は拍手喝采であった。
2013年6月、チョン・キョンファはリサイタル公演としては1998年以来15年ぶりに来日。その後2015年4月に再来日し国内に強烈な印象を残した。2016/17年シーズンは楽壇デビュー50年を迎え、念願であったバッハの無伴奏ソナタ&パルティータ全曲演奏会を日本を含む全世界で行った。2018年5月は宮崎国際音楽祭、6月は生誕70周年と新譜『Beau Soir』リリース記念を兼ねた特別演奏会、10月には東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会(チョン・ミョンフン指揮)でブラームスの協奏曲で来日。2019年10月の来日ツアー公演では、ブラームスのソナタ全曲をプログラミング。情熱的でありながら、叙情的で甘美で人間味あふれる演奏に、聴衆は心酔していた。

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