マルタ・アルゲリッチ(総監督/ピアノ)
21年目ですね。この場所は他とは全く違う、特別なところです。他所では感じない特別な雰囲気があります。まず人々が愛情に溢れています。特に私に対しては信じられないほどです。本当にどう説明していいかわからないほどです。(この音楽祭を)心から受け止めて愛してくださっていることを感じます。始めた時からそうでした。当初はたくさんの出演者がいたのですが、今はそれほどではありません。聴衆は変わらずたくさん来場してくれますが、出演者はぐっと絞られてきました。以前のマラソンコンサートの形も大変気に入っていましたが、この形も、非常に心がこもった感じがして私は気に入っています。

《5月18日大分公演後》
特に日本にとっては、新しい天皇が即位され年号が新しく変わってから最初のコンサートとなりましたね。
聴衆は非常に熱狂的で素晴らしく、あたたかかったと思います。ただ今日の自分の演奏に関しては少し変な感覚があって、やり過ぎてしまったとでも言いましょうか。水道の蛇口を思い切り開けてしまうと、逆に(勢いよく水が流れすぎて)グラスに水を貯めることができませんよね。そういう感覚です。私自身を開放しすぎてしまったと言うか。
今年の音楽祭が最高のものになることを願っています。今日のコンサートでもミッシャと共演することができて大変嬉しいです。彼と演奏するのが大好きなのですが、彼のスケジュールのため今年の音楽祭で彼と演奏できるのは今日だけでしたから。
《5月24日東京公演後》
「今日はとにかく何か特別なものに心を打たれました。いい演奏であったと思います。」
I felt something,,,,,something special today, touched, was a good performance.

《5月31日別府公演》
コンサートは良かったと思います。メンデルスゾーンのトリオは演奏するのが初めてだったので、実は非常に緊張していました。また私の孫と、別府で演奏するのも初めての経験でした。楽しかったです。リダはヴィオラ奏者ですが、今回は初めて私と一緒にピアノを弾くということで、それも新しい経験でした。
メンデルゾーンは私が演奏したいと思っていました。もう一曲の第1番は、去年演奏しました。ニ短調の曲です。今日はアンコールでその第3楽章を演奏しました。私はメンデルスゾーンの一番と二番、どちらも演奏したいと思っていたのです。二番はあまり知られていない曲ですが、非常に劇的です。一番はどちらかというと春の雰囲気を感じさせるというか。
トリオの演奏、非常に素晴らしかったです。本当に良かったと思います。

《6月3日ピノキオコンサートatスイス大使公邸後》
ローマに続いてスイス大使館でのピノキオコンサートと会見は、今後の私たちの活動にとって有意義なことでした。演奏も会見もリラックスしてとても楽しめましたし、とてもインティメートな雰囲気でしたので集った皆さんとも会話が進みましたね。
デュトワはスイス人なので誘ったのですが、大阪でのリハーサルがあって来ることが出来ず残念でした。大分市とスイスの共生社会の為のホストタウン活動や、交流も素晴らしいものだと思います。
来年はオリンピックが日本で開催されて、パラリンピックもありますね。



伊藤京子(総合プロデューサー/ピアノ)
今年も天災もなく、音楽家の皆さまも無事に過ごしていただき心から安堵しています。
音楽家のお一人お一人の音楽への真摯な姿勢にも感銘を受けると共に、感謝をしています。何よりも音楽の魅力あっての音楽祭です。ベテランの音楽家に多く出演して頂くなかで、次の世代の代表として小菅優さんには豊かな表現力でベートーベンの作品を演奏していただきました。
日本はクラシック音楽の輸入国ですがこの音楽祭は、その西洋からの文化を受け入れて日本人が初めて演奏を学び、演奏した大分に誕生しました。
昨年のローマ公演の経験から、今後はその土地で育まれたこの音楽祭の目的を一層明確にして、海外へも発信をしていきたいと考えています。
クラシック音楽を通じてより深い交流が生まれることを、ローマで体験できたことは今後の指針にもなりました。
今回の東京公演はピノキオコンサートの100回、という節目にあたりマエストロ小澤征爾という日本が世界に誇る指揮のもと、水戸室内管弦楽団との共演でアルゲリッチのベートーベン2番のコンチェルトが演奏されました。その場には上皇上皇后両陛下の御来臨を賜り、特別な公演となりました。またマエストロ小澤の登場に会場の皆さまが、スタンディングオベーションで迎えてくださり、感謝の気持ちに溢れた特別な空気が演奏家と聴衆との間に流れていました。深い感動に演奏後も何度も登場してくださった演奏家の皆さんに、両陛下も最後まで立ち上がって拍手を送ってくださいました。日本の音楽界の歴史に残る演奏でもあり、巨匠同士の出会いに心からの感謝を捧げたいと思います。また両陛下をはじめ、私たちの音楽祭を支えていただいているすべての皆さまにも厚く御礼を申し上げます。
これまで文学と音楽のコラボレーションや室内楽マラソンコンサート、学生オーケストラと巨匠の共演による教育プログラムを実施して参りました。
また写真家との街中でのジャンルを超えた催しも、地元の人たちとの共同作業でその過程も、出会いの音楽祭ならではの時間でもあったと思います。
これからもさまざまな出会いを大切に、時を重ねて参りたいと思います。ありがとうございました。



小澤征爾(指揮)
マルタと共演するのは大好き、またやりたいですね。マルタのピアノは僕たちに命を吹き込んでくれる。You give us a life!



シャルル・デュトワ(指揮)
この音楽祭は大変素晴らしい音楽祭だと思います。マルタとは1958年からの付き合いで、最も古くからの友人の一人です。彼女が様々な場所でやっている音楽祭に、私も数多く出演してきました。この別府アルゲリッチ音楽祭にもかつて一度出演しています。今回、この若いオーケストラと再び参加することができて非常に嬉しく思っています。今回は東京でのリハーサルから始まり、ドビュッシーもラベルも非常に難曲だったのではじめは大変でしたが、今日は素晴らしい演奏をしてくれました。もちろんミッシャやマルタと共演することができてとても幸せです。またここに戻ってきたいですね。
若いオーケストラは経験が足りないところがあります。個々のメンバーはそれぞれ優れた演奏家ですが、グループとしてということになると話は違ってきます。二、三日という限られた日数でも最高の経験を積んでもらうために、私も一生懸命取り組む必要がありました。大変な仕事です。ただ若いオーケストラだから特別大変だ、というわけでもありません。どのオーケストラと共演するときも、私はこのように一生懸命取り組みます。
音楽作りという点で、若い時に最高クラスの経験をすることが非常に大事です。私は若者たちと音楽を作るのが好きですし、世界中で同じようなことをしています。



ミッシャ・マイスキー(チェロ)
若い音楽家と共演することが大好きなので、非常に楽しむことができました。私の心は彼らと同様に若いのでくつろいで演奏することができたと思います。素晴らしい聴衆の前で、このように素敵なオーケストラと特別な指揮者と共演することができて非常に嬉しいです。日本に来るのが大好きで、これが51回目の来日になります。九州も大好きです。これからもまた何度でも訪れたいと思っています。
(アルゲリッチ 監督とは)1975年以来、もうかれこれ44年の付き合いです。いまだに彼女と共演することはこの上ない喜びであり、名誉なことです。私が出会った中で最も偉大な音楽家の一人と、このように長く深い関係を築けてきたことは特別なことです。
日本の聴衆は大好きですし、別府のファンも非常に特別です。私たちが今夜の演奏を楽しんだのと同じくらい皆さんも楽しんでくれたことを願っています。これからも音楽への愛を分かち合える機会がたくさんあることを祈っています。



竹澤恭子(ヴァイオリン)
音楽祭20周年という記念すべき年に、また、私事ではございますが偶然にも自身デビュー30周年ということも重なりまして、昨年に引き続きこの度の音楽祭にて演奏させていただけましたことは、とても光栄な思いとともに、生涯忘れられない大切な宝物となりました。共演させていただきましたショスタコーヴィチやメンデルスゾーンのアルゲリッチさんの音楽表現に対する研ぎすまされた感覚、そして、その音楽エネルギーを全身で体感し、浴びる様な刺激を受け、本当に夢の様な幸せな時間でした。そして、この音楽祭が20年という長きに渡り、素晴らしいこの音楽体験を魅力溢れる別府から世界に発信され続けてこられましたのは、ひとえに偉大なるアルゲリッチさんの魔力のもと、伊藤京子様、そして、スタッフの皆さま、地元の皆さまの厚い情熱によるものと思います。
心よりお祝い申し上げます。また、20周年を記念して、しいきアルゲリッチハウスレジデント・アーティストとして、これから皆さまに音楽の素晴らしさをお届けさせていただけます事も、とても楽しみで胸がワクワクしております!



豊嶋泰嗣(ヴァイオリン)
今年の音楽祭では、東京オペラシティでの演奏会、大分市の能楽堂での演奏会そして、別府での室内楽コンサートと、例年以上に広がりを感じるものでした。
メインである別府でのコンサートでは、新しいレパートリーに挑戦するという我々にとっても大変刺激的なコンサートになりました。又、いつもの様にスタッフの献身的なサポートによって、安心して演奏に集中できる環境もとてもありがたかったです。
また参加できる事を祈っております。ありがとうございました。



川本嘉子(ヴィオラ)
第21回アルゲリッチ音楽祭 ご成功おめでとうございます。
今回は東京と大分の皆様に聞いていただく事が叶い記憶、心に残る時間となりました。
能楽堂での弦楽アンサンブルは思いの外心地よく響き、雨の中お運び下さった皆様にもお喜び頂けたと確信しております。そして東京でのアルゲリッチ監督とマエストロ小澤征爾、 上皇上皇后陛下御来賓の夜は、今までにない熱気と興奮でホールが狭く感じる程でした。
一(イチ)演奏家として、素晴らしい体験を与えていただける音楽祭に心より感謝しております。



原田禎夫(チェロ)
今回初めて平和市民公園能楽堂で演奏する機会を与えて頂きました。舞台に出てみるまで全く想像していなかったのですが、日本の伝統文化の空間の持つ特有の静寂の中に、我々が演奏する西洋音楽が何の違和感も無く融合し、演奏していてもその美しい響きに集中することが出来たように思います。お客様にもそれが伝わって、とても静かに聴いて頂けたのでは無いでしょうか?
本来の能舞台を、我々が演奏出来るように工夫してセッティングして下さったスタッフの皆さんには本当に感謝しています。
アルゲリッチという素晴らしい音楽家の存在あってこその音楽祭ですが、こうして21年続いて来たのは、スタッフやボランティアの年間を通じての努力やサポートの大きな力に依るもの、といつも感じています。



向山佳絵子(チェロ)
昨年に比べると別府滞在日数はだいぶ少なかったはずなのですが、帰宅したときに長いこと家を空けていたような感じがしました。凝縮された充実感とも云えるでしょうか。
アルゲリッチ総監督とのスリリングで緊張感溢れるメンデルスゾーンはもちろん、他の2曲は初共演のバボラークさん、小菅さんとご一緒…また、慣れない公開レッスンをお引き受けしたり、と終始気を休める暇なく4日間過ごしたように思います。
今回もまた大変貴重な素晴らしい体験をさせていただきました。これを糧に、心の支えに、精進したいと思います。本当にありがとうございました。



ラデク・バボラーク(ホルン)
それぞれの演奏会において、マルタさんと共演できたことは音楽家として非常に大きな喜びでした。私はホルン奏者で全く違う楽器を演奏しているわけですが、それでも大変刺激を受けました。真に偉大な演奏家の証だと思うのですが、彼女は自分と全く違う楽器の奏者や指揮者にとっても、インスピレーションとなる存在です。今回はシューマンの曲、それからオーケストラではベートーベンの協奏曲を演奏しました。オーケストラの中で演奏していても、彼女のフレーズや微妙なニュアンスの付け方に集中して耳を傾けていたので、小節を数えるのが疎かになってしまうほどでした。
オーケストラの中で演奏するときにはホルン奏者はもっと受け身の立場です。室内楽で共演するときは、もっと積極的に一緒に音楽を作っていくことができます。アルゲリッチ監督との共演は私にとっては夢のような体験です。偉大な音楽家というのは、あまり喋らなくとも、その演奏のフレーズやニュアンスを通して自然に音楽が発展していきます。今晩、再びそれを体験でき、非常に幸せに思います。また彼女と室内楽を共演することがあることを願っています。
音楽祭はそれぞれ全て違っています。日本の音楽祭は松本、樫本大進さんの音楽祭などの経験がありますが、それぞれ全て違います。それは芸術的な点でリーダーとなる方の個性の違い、世代の違い、音楽仲間の違いなどからくるところが大きいと思います。大分と別府という二つの市は、この音楽祭の趣向とピッタリとあっていると思いますし、聴衆も敬意を持って演奏に耳を傾けてくれるという印象があります。これからもこの素晴らしい音楽祭が続いていってくれることを願ってやみません。



小菅 優(ピアノ)
フェスティバルに参加させていただき光栄です。アルゲリッチ氏の素晴らしい演奏、そして優しい人柄に感動しました。そして、別府の方々の音楽祭への熱狂ぶりに胸が熱くなりました。音楽によって人々が一緒に集まり、このように最高のものを共有することで繋がっているのは本当に素晴らしいことだと思います。



小井土文哉(ピアノ)
この度は別府アルゲリッチ音楽祭という素晴らしい舞台で演奏させていただき、ありがとうございました。
しいきアルゲリッチハウス様のホールは、その収容人数から見るととても高い天井で、良い響きを得られる事と、お客様の近くで音楽を共有出来る事を同時に叶えられるとても良いホールでした。本番は、ピアノとホールは勿論、観客の方々のあたたかい雰囲気に助けていただき、良い音楽がつくれたと思います。
もしも機会を頂けましたら、是非また別府で演奏させていただけたらと思います。
温泉と、美味しいご飯も素晴らしかったです。ありがとうございました!

→ 第21回記念別府アルゲリッチ音楽祭の記録 → 出演アーティストのプロフィール