「アルゲリッチの出会いの場」がローマで実現しました。
サー・アントニオ・パッパーノをはじめサンタ・チェチーリア、ミッシャ・マイスキーそして竹澤恭子さんや豊嶋泰嗣さんに日本側から出演をしていただきました。
2800人のホールは満員の聴衆を迎えて、熱気に包まれ、その期待の高さを感じました。
サンタ・チェチーリア国立アカデミアの関係者からも、アルゲリッチは神話のような芸術家だということや、これ程の素晴らしい音楽家が集まっての音楽会は稀だと興奮して話す姿に、改めて毎年アルゲリッチがやって来る大分はなんという幸運なことなのか、と改めて思いました。
また、歴史の持つ力や、その縁の不思議さを強く感じながら、大分からの100 名もの方々が天正遣欧使節団から433 年の年月を経て訪問されました。なんという壮大な時の流れでしょうか。
アルゲリッチがこの地に舞い降りたのも、この歴史が呼び寄せたのかもしれません。これまで何故どこにもない唯一無二の歴史が語られなかったのかは不明ですが、今後大いに声を大にして先人を顕彰し、大分の風格へと繋がっていく
ことを願っています。
また、在イタリア日本大使館の全面的な協力を得てピノキオコンサートを開催すると共に、アルゲリッチの会見も実現しました。
現地のジャーナリストの質問にも答え、こどもたちにとっても音楽は重要であることに言及しました。また今回のローマとの交流の意義についても語り、イタリアの人々とも触れ合い、素晴らしい交流となりました。
日本は戦後、目を見張るような経済発展を遂げましたが、それと引き換えに大事なものを失ったように感じているのは私だけではないように思います。国家の基盤として経済は重要です。しかし、余りにも経済を重視することで効率化が過度に進んだり、そこに大切な「人」が置き去りにされてしまったようにも感じます。
機械化も進み、人が本来持っている感覚や思考することが少なくなっています。
再び人としての心を取り戻すためにも教育は大切です。きっと芸術はそこに力を発揮してくれるのだと思います。
また日本は輸入文化が主流ですが、460 年前に異なる人種や、宗教、音楽、演劇、医学がもたらされました。そこにある唯一無二の歴史を思い起こし、アルゲリッチによって育てられている芸術活動をヨーロッパへ伝えることで、日本が精神活動を大切にしている国であることを伝える機会にもなっていくのです。
そして同時に借り物ではない、個性をもった文化圏としてのアイデンティテイを確立していくことになるのではないでしょうか。
この度のローマ公演も多くの方々の御協力によって、成功に導いていただきました。
サー・パッパーノご夫妻の全面的な御支援を賜り、一切の報酬までをも辞退をされ応援をいただきました。マイスキーはアルゲリッチのためならと、家族との休暇や公演の予定をキャンセルして駆けつけていただきました。また風邪で体調を崩していたアルゲリッチは本当に頑張ってくださいました。
心から関わっていただいた全ての方々に、感謝申し上げます。ありがとうございました。
このことを希望の種とし、アルゲリッチによって架けられた橋が未来への希望の道へ繋がっていくことを願いたいと思います。 

→ 別府アルゲリッチ音楽祭ローマ公演の記録